レンガってそもそもどんなもの?
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レンガの歴史は意外と古く、古代オリエント時代に、四角く固めた土を天日干しにしたものが起源のようで、さらにそれを焼いて強度を増した物が現在のレンガの祖先です。 日本には中国大陸を経て伝わり、仏教とともに伝来したり、江戸時代に長崎から南蛮文化として 広まりましたが、実際には江戸時代末期から作り出されて、明治時代に西洋文化の象徴として広く建築に採用されました。 明治・大正のレンガ造りの建物や倉庫は、情緒があってノスタルジックで素敵ですね。 日本の木と紙の家から、レンガ造りの大型建物への移行後、関東大震災(大正12年)で強度等の問題が露呈し、その後コンクリート構造へシフトしていきます。 この段階でレンガを薄く造って、コンクリートの構造体の表面に張り付けたのが、タイルの始まりと 思われます。 またレンガは「煉瓦」と漢字で書くのが本当で、「煉」は火で焼いて造ることを意味し、日本古来の 瓦と同じ製法なので「煉瓦」となりました。ちなみに英語ではBRICK(ブリック)です。 レンガは赤い色をしていますが、これは土の中の鉄分が焼かれて赤く発色したもので(酸化)、逆に酸素を少なく(還元)焼くと、鉄分本来の黒っぽい色になります。 この還元焼きは土の質と燃焼温度によってさまざまな色を演出してくれて,赤と焦げ茶以外にオレンジやパステルピンク・グレー、またこれらの色の混ざったものなど多彩な表情を見せてくれます。 エクステリアに使う為に、色々なレンガが身近に普及してきたのは、ここ10数年余りのことです。 現在使われているレンガを大別すると以下のように分けられると思います。 ①国内メーカーが生産するカラフルな還元焼きレンガ ②輸入レンガ(オーストラリア産が多い) ③使用済みレンガ(炉で使った耐火レンガを取り出したもの。デザインレンガ・アンティークレンガ・ ビンテージレンガ等の名称で呼ばれている) ④ブロックメーカーが生産するセメント系レンガ ①は、かなり種類やメーカーが有って充実しています。 ②は珍しい風合いのレンガが多かったのですが 国産レンガも②に模したものを造る様になりました。③は店舗等でよく使っていたのが個人の家にも出回るようになり、使用済みのアンティークな風合いが好評です。 ④は①~③が本来の土を成型して焼いたレンガに対して、基本的に焼いていません。セメントと骨材と色粉を混ぜて、プレス・乾燥させたレンガです。 非常にカラフルで思いのままに色を作れますが紫外線劣化の問題があり、各メーカーは表面処理に苦心しています。 レンガは元々立方体ですが、最近は輸入レンガの影響もあって穴あきレンガが増えました。 元々は穴を空けたほうがレンガの内部に火が通り安いというのが理由ですが、鉄筋を入れて構造的に補強する事が出来るので普及しています。 ④は基本的にブロックと同じ考え方ですので、全て穴あきで鉄筋仕様になっています。 兵庫県では国産レンガは愛知県か広島県の物が多いのですが、愛知県産は色合いが鮮やかで陶器に近いイメージでかなり硬く、広島県産は色合いが濃くどっしりと粘土質ぽい感じです。 レンガのエクステリア素材としての特徴は、焼き物ですので長年経っても質感や色合いが褪せないと言う事と、逆に歳月が経つほどに重厚感や雰囲気が出てくる事です。また植栽や枕木と相性がいいと思います。 吹き付けや化粧ブロックでは経年変化が汚れとしか出てこないのとは対照的です。 タイルはシャープでキチッとしたイメージを作りやすく、レンガは暖かく柔らかいイメージを演出 しやすい素材です。