植栽はなぜ必要?
Answer
植栽は樹木・コニファー類・園芸品種の3種類位に分けられると思いますが、園芸品種(草花・ハーブ・野菜類)は業者に依頼することはほとんどありませんので、一般家庭用の樹木について書いていきたいと思います。
まず植栽の機能については、①審美性と癒し効果 ②デザイン機能 ③微気候コントロール④防災機能 が上げられます。
①審美性と癒し効果は、植物を庭の中に適切に配植することによって非常に高い精神的満足感が得られるいうことです。
エクステリア製品や組積材は工業製品で硬いイメージしかありませんので自然を取り込むことによって全体がやさしく潤いのあるものになります。
特に敷地が広くない場合は少しのスペースを工夫して、いかに植栽を上手に入れるかが設計のポイントになります。
②デザイン機能は植栽の特性をうまく使ってデザインパーツとして利用することです。
例えば目隠しとして生垣や列植にしたり、シンボルツリーで空間を演出したり、配列を工夫して庭を広く見せるなどがそれにあたります。
③微気候コントロールは、庭や室内の小空間の気候(日当たり・風通し・水はけ)を植栽によってうまくコントロールできることです。
常緑広葉樹を使って夏は日照をさえぎり冬は日当たりを良くしたり、常緑樹で西日をさえぎったり、強い風当たりを押えたりできることがそうです。
④防災機能は、植栽によって火災の延焼を抑えたり、騒音を軽減したり、土壌の流出を防止したり、また人の侵入を阻んだりすることが上げられます。
次に植栽の基本的な分類を説明しますと、生態による分類と性質による分類に分かれます。
生態とは形による分類ですから、高木(4m以上)・中木(2~4m)・潅木(低木2m以下)下草類(0.5m以下)・つる性植物・笹苔芝類・竹特殊樹木などにわかれています。
ここでいう高・中・潅木は植え込む時点でのサイズですから、植物辞典などに載っている最大高とは意味合いが違います。
また樹木の成長は基本的に土の量によって制限されますから、庭に植えた木は公園や野原にある木の様には大きくなりませんし、剪定すれば一定の大きさで保つことができます。
性質による分類は、常緑と落葉(各々に針葉樹と広葉樹)・陽樹と陰樹・植物の耐性による分類(耐湿性・耐乾燥性・耐やせ地・耐風性・耐火性・耐潮性・耐公害性)などに分かれます。
常緑樹は葉が落ちないと思われている方が非常に多いのですが、逆に一年中ひっそり落葉していて一度に全部が落葉しないという性質です。
ですから落葉の季節には常緑樹も少し多めに落葉しますのでシマトネリコやシラカシの葉が少し色づいて落ちたり、コニファーが部分的に少し茶色に変色して葉が落ちたりということがありますが、正常な生理現象ですのでご安心ください。
植物の耐性について一般の住宅地では問題になる場合は少なく、私共の商圏内では主に海岸沿いの耐潮性植物でしょうか。
海沿いの住宅では植える樹種に検討が必要です。
これらの樹木の分類や性質をよく理解したうえで木の個性が活かせるような植栽計画が望ましいわけですが、何かとお忙しいお客様のご希望は ①手入れが簡単(剪定回数を少なく) ②病気や害虫に強い・虫がつかない ③美しく存在感のある木 というご要望が大変強くていらっしゃいますので、使える木が大体決まってきて偏ってくる傾向にあります。